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異業種からデータサイエンティストへ:SQLはなぜ必要?未経験が学ぶべき基礎と学習ロードマップ

Tags: SQL, データ分析, データベース, 学習ロードマップ, 未経験転職

データサイエンティストへのキャリアチェンジを目指す皆様、こんにちは。サイト「キャリアチェンジtoデータサイエンティスト」運営チームです。

異業種からデータサイエンティストを目指す際、「プログラミングが難しそう」「数学や統計学が苦手」といった不安を感じる方は少なくありません。しかし、データサイエンスの世界は、皆さんがこれまでの経験で培ってきたビジネス感覚や課題解決能力が活かせる分野でもあります。そして、技術的なスキルについても、一つずつ段階を踏んで学んでいけば、必ず習得できます。

その学習ステップの中で、多くの未経験者が「なぜこれが必要なの?」と感じるスキルの一つに「SQL」があります。プログラミング言語であるPythonやRはイメージしやすいかもしれませんが、SQLはデータベースと関わるスキルであり、普段の仕事であまり馴染みがないかもしれません。

ですが、データサイエンティストにとって、SQLは非常に重要な「必須スキル」です。この記事では、なぜSQLが必要なのか、未経験者がどこからどのように学べば良いのか、具体的なロードマップと共に詳しく解説していきます。

データサイエンティストになぜSQLが必要なのか?

データサイエンティストの仕事は、データを分析してビジネスの課題解決や意思決定に役立てることです。しかし、データ分析を始める前に、まず「データそのもの」を手に入れる必要があります。データは、多くの場合「データベース」という場所に保管されています。

データベースとは?データを保管する「倉庫」

データベースとは、文字通りデータを体系的に整理し、保管しておくための「データの倉庫」のようなものです。皆さんがExcelで顧客リストや売上データを管理したことがあるかもしれません。データベースは、それがはるかに大規模で、複数のリスト(テーブルと呼びます)を関連付けて、効率的にデータの出し入れができるようにしたものです。

例えば、顧客情報、商品情報、購入履歴、店舗情報など、様々なデータがそれぞれのテーブルに格納されています。

SQLとは?データベースからデータを取り出す「言葉」

SQL(Structured Query Language:構造化照会言語)は、このデータベースから必要なデータを取り出したり、加工したり、更新したりするための「データベースと対話するための言語」です。

データサイエンティストは、分析のためにまずデータベースから必要なデータセットを作成する必要があります。例えば、「過去1年間に特定の商品カテゴリーを購入した顧客のリスト」や、「先月の売上データを店舗別に集計した結果」といったデータが必要になるでしょう。これらのデータは、データベースの中に散らばって格納されているため、SQLを使ってデータベースに「こういうデータが欲しいです」と指示を出すことで、目的のデータを取り出すのです。

SQLで何ができる?データ操作の基本

SQLを使うと、具体的に以下のようなデータの操作が可能です。

これらはデータ分析の「前処理」において非常に基本的な作業です。PythonやRなどのプログラミング言語で高度な分析を行うにしても、元となるデータセットを作成するためには、多くの場面でSQLが必要になります。データ分析は、データの収集・前処理が8割を占めると言われることもあり、SQLはその前処理における強力なツールなのです。

営業職などのご経験がある方なら、顧客情報や売上データなど、普段扱っている情報がどのようにデータベースに格納されているかをイメージしやすいかもしれません。ご自身の業務で扱っていたデータをSQLで操作することを想像すると、学習のモチベーションにつながるでしょう。

SQL学習のハードルは高くない?

「言語」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、ご安心ください。SQLは、PythonやRのような汎用プログラミング言語と比較すると、構文が比較的シンプルで、覚えるべきことも限定的です。

また、SQLは高度な数学や統計学の知識を直接的に必要としません。もちろん、集計や分析の意図を理解するためには基本的な統計的な考え方が役立ちますが、SQLの構文自体を学ぶ上で複雑な数式を理解する必要はありません。これは、数学や統計学に苦手意識がある方にとって、取り組みやすいポイントと言えるでしょう。

SQLはデータの「操作」に特化した言語であり、Excelでフィルターをかけたり、並べ替えたり、SUM関数で合計を出したりする操作の延長線上にあると考えると、少しイメージが湧きやすいかもしれません。

未経験者のためのSQL学習ロードマップ

異業種からデータサイエンティストを目指す未経験の方が、SQLを習得するための具体的なステップをご紹介します。

ステップ1:データベースの基本概念を理解する

まずは、リレーショナルデータベースとは何か、テーブルとは何か、といった基本的な概念を理解することから始めます。データがどのように格納され、テーブル同士がどのように関連付けられているのかを知ることが、SQLを学ぶ上での土台となります。

ステップ2:基本的なSQL構文を習得する

実際に手を動かしながら、データを操作するための基本的なSQL構文を学びます。最初は以下の構文から集中的に学習することをお勧めします。

これらの構文を組み合わせることで、様々な条件でデータを抽出・集計できるようになります。

ステップ3:実際に手を動かす練習環境に慣れる

SQLは、実際にデータベースに対してクエリ(指示文)を実行してみることが最も重要です。様々な練習用のデータセットや環境がオンラインで提供されていますので、それらを活用して、学んだ構文を使って様々なクエリを書いてみましょう。エラーが出ても恐れずに、試行錯誤しながら理解を深めていくことが大切です。

ステップ4:実践的なデータ分析演習への応用

基本的な構文が身についたら、より実践的なデータ分析のシナリオでSQLを使ってみましょう。例えば、「特定の期間の商品の売上トップ10を知りたい」「優良顧客(購入金額が大きい顧客)のリストを作成したい」といった、実際のビジネス課題を想定したデータ操作に挑戦します。他のスキル(Pythonなど)と組み合わせて、SQLで取得したデータをさらに分析する、といった演習も効果的です。

具体的な学習方法とリソース紹介

SQLを学ぶためのリソースは豊富にあります。ご自身の学習スタイルやペースに合ったものを選んでみてください。

学習継続のヒント

SQLに限らず、新しいスキルを学ぶ上で継続は重要です。

まとめ:SQLはデータサイエンティストへの強力な一歩

この記事では、データサイエンティストを目指す上でSQLがなぜ重要なのか、そして未経験の方がどのようにSQLを学んでいけば良いのか、具体的なステップとリソースをご紹介しました。

SQLは、データ分析の入り口となる「データの準備」に不可欠なスキルです。数学やプログラミングに不安がある方も、比較的取り組みやすい言語ですので、ぜひ最初のスキルの一つとして学習を始めてみてください。

SQLをマスターすることは、データを自分で自由に扱えるようになる強力な武器を手に入れることを意味します。それは、データサイエンティストとしてのキャリアを切り拓く上で、確かな一歩となるでしょう。

皆様のデータサイエンティストへの挑戦を応援しています。