【未経験向け】異業種からデータサイエンス学習:最初の一歩!無料ツールの選び方・使い方・環境構築
異業種・異職種からデータサイエンティストを目指される皆様、こんにちは。
データサイエンスという分野に興味を持ち、キャリアチェンジを決意されたものの、「何から始めれば良いのだろう?」「専門的なツールが必要なのでは?」と、最初のステップで戸惑われている方もいらっしゃるかもしれません。特に、技術的なバックグラウンドがない場合、学習環境を整えること自体が大きなハードルに感じられることもあるでしょう。
この記事では、そのような未経験の方々に向けて、データサイエンス学習を始める上で「まず何を使えば良いのか」、そして「どうすればその環境を準備できるのか」を分かりやすく解説します。高価なソフトや複雑な設定は一切必要ありません。無料で利用できる便利なツールを中心に、その選び方や基本的な使い方、簡単な環境構築方法をご紹介します。
この記事を読めば、データサイエンス学習の第一歩をスムーズに踏み出すための具体的な方法が分かります。どうぞ最後までお読みください。
データサイエンス学習になぜツールが必要なのか
データサイエンティストの仕事は、データを収集し、分析し、そこから価値ある知見を引き出すことです。この一連の作業を行うためには、専用のツールが必要不可欠です。
例えば、膨大なデータを手作業で計算したり整理したりすることは現実的ではありません。コンピュータに計算や分析をさせるための「指示」を書く必要があり、その指示を書くための「言語」として、データサイエンス分野では主にPythonやRといったプログラミング言語が使われます。
そして、これらのプログラミング言語を使ってデータ分析を行うための「作業場」となるのが、これからご紹介する様々なツールです。これらのツールを使うことで、コードを書いて実行し、データの分析結果を確認するといった作業を効率的に行うことができます。
未経験者におすすめの無料ツール3選
データサイエンスの学習を始めるにあたり、未経験者がまず使うべき、そして無料で利用できる代表的なツールを3つご紹介します。
- Google Colaboratory (Colab)
- Jupyter Notebook / JupyterLab
- Kaggle Notebooks
それぞれの特徴を見ていきましょう。
1. Google Colaboratory (Colab)
Colabは、Googleが提供する無料のクラウドベースのサービスです。特別なインストールや設定は一切不要で、WebブラウザさえあればすぐにPythonを使ったデータ分析を始めることができます。
未経験者にとってのメリット:
- 環境構築が不要: これが最大のメリットです。通常、プログラミング環境を自分のパソコンに構築するのは初心者にとって最初の難関となりがちですが、Colabならその手間がありません。
- 無料で利用可能: Googleアカウントがあれば誰でも無料で使えます。
- 高性能な計算資源を利用可能: 場合によっては、GPU(Graphics Processing Unit)やTPU(Tensor Processing Unit)といった、データ分析や機械学習に特化した高性能な計算資源を無料で利用できる場合があります。
- 共有が簡単: 作成したノートブック(分析コードや説明をまとめたファイル)を他の人と簡単に共有できます。
基本的な使い方: WebブラウザでColabのサイトにアクセスし、新しいノートブックを作成するだけです。ノートブックは「セル」と呼ばれる四角いブロックの集まりでできています。セルにはコードを書く「コードセル」と、説明文や図などを書く「テキストセル」があります。
コードセルにPythonのコードを書き込み、左端の実行ボタン(▶のようなマーク)をクリックすると、そのコードが実行され、結果がセルの下に表示されます。
例えば、コードセルに
print("Hello, Data Science!")
と書いて実行すると、セルの下に
Hello, Data Science!
と表示されます。また、簡単な計算もすぐに試せます。
1 + 1
を実行すると、結果として
2
が表示されます。このように、手軽にコードを試しながら学習を進められます。
2. Jupyter Notebook / JupyterLab
Jupyter Notebookも、Pythonなどを使ったデータ分析で非常によく使われるツールです。Colabと同様に「ノートブック形式」でコードと説明をまとめて実行できますが、こちらは基本的に自分のパソコンなどの「ローカル環境」にインストールして使います。JupyterLabはJupyter Notebookの進化版で、より多機能で使いやすい統合開発環境(IDE)のようなものです。
メリット:
- オフラインでの利用: インターネットに接続していなくても利用できます。
- カスタマイズ性: 自分の環境に合わせて詳細な設定や拡張機能の導入が可能です。
- ローカルファイルへのアクセス: 自分のパソコンにあるファイルを直接扱えます。
簡単なインストール方法: 未経験者の方には、Anacondaという配布版をインストールするのが最も簡単でおすすめです。Anacondaには、Python本体だけでなく、データ分析に必要な主要なライブラリ(ツールキットのようなもの)や、Jupyter Notebookなどがまとめて含まれています。Anacondaをインストールすれば、すぐにJupyter Notebookを使い始めることができます。
3. Kaggle Notebooks
Kaggleは、世界中のデータサイエンティストが集まるオンラインコミュニティであり、データ分析コンペティションのプラットフォームです。Kaggleが提供するNotebooks(以前はKernelsと呼ばれていました)も、Colabと同様にWebブラウザ上でPythonなどを実行できる環境です。
メリット:
- 環境構築不要: Webブラウザがあれば利用できます。
- コンペティションデータへのアクセス: Kaggleのコンペティションで提供されているデータにすぐにアクセスして分析できます。
- 他のユーザーのコードを参考にできる: 多くのユーザーが自分の分析コードを公開しており、これを参考にして学習できます。
基本的な使い方: Kaggleに登録し、Notebooksのセクションから新しいノートブックを作成します。使い方はColabやJupyter Notebookと非常によく似ています。
どのツールから始めるべきか?選び方と使い分け
未経験の方がデータサイエンス学習を始めるなら、まずはGoogle Colaboratory (Colab) を使うことをおすすめします。
理由は、「環境構築が不要」という点が、最初の学習のつまずきポイントを大きく減らしてくれるからです。Webブラウザを開けばすぐにコードを書き始められる手軽さは、学習のモチベーション維持にもつながります。
Colabで基本的なPythonの文法やデータ分析の初歩に慣れてきたら、必要に応じてJupyter Notebook/LabやKaggle Notebooksも試してみるのが良いでしょう。
- Colab: まずはここから!環境構築の手間なくすぐに始めたい方に最適。
- Jupyter Notebook/Lab: ローカル環境でじっくり開発したい、オフラインで作業したい、より自由に環境をカスタマイズしたい場合に検討。
- Kaggle Notebooks: データ分析コンペに興味がある方、実践的なデータや他の人のコードを見て学びたい方におすすめ。
いきなり全てのツールを使いこなす必要はありません。まずはColabひとつで十分です。
環境構築の簡単なステップ(Anacondaを使う場合)
Colabで慣れてきて、ローカル環境でJupyter Notebookを使いたいと思った場合、Anacondaのインストールが最も簡単な方法です。
- Anacondaのダウンロード: Anacondaの公式サイトにアクセスし、お使いのOS(Windows, macOS, Linux)に合ったインストーラーをダウンロードします。Pythonのバージョンは、特に指定がなければ最新版を選んで問題ありません。
- インストーラーの実行: ダウンロードしたインストーラーファイルを実行します。
- インストールオプションの選択: 基本的には推奨される設定のまま進めて大丈夫です。「Add Anaconda to my PATH environment variable」の項目は、環境によってはチェックを入れると便利な場合もありますが、初心者の方はチェックを外したままでも問題ありません。インストール完了後に設定することも可能です。
- インストール完了: 画面の指示に従って進め、インストールが完了するのを待ちます。
- Jupyter Notebookの起動: インストール後、Windowsであればスタートメニューの「Anaconda3」フォルダから「Jupyter Notebook」を選択するか、コマンドプロンプト(またはターミナル)を開いて
jupyter notebook
と入力してEnterキーを押すことで起動できます。JupyterLabを使いたい場合はjupyter lab
と入力します。Webブラウザが起動し、Jupyterの画面が表示されれば成功です。
Anacondaのインストール手順は、OSやバージョンによって細部が異なる場合があります。もし詰まってしまった場合は、「Anaconda インストール [お使いのOS名]」などで検索すると、詳しい手順を解説したサイトが多く見つかりますので、参考にしてみてください。
ツールを使った簡単な実践例
ColabやJupyter Notebook/Labでは、コードセルにPythonコードを書いて実行します。例えば、以下のコードは、Pythonを使って「pandas」というデータ分析によく使うライブラリを読み込み、簡単なデータ(表形式)を作成する例です。
import pandas as pd
# データを作成
data = {'名前': ['Aさん', 'Bさん', 'Cさん'],
'年齢': [25, 30, 22],
'職業': ['営業', 'エンジニア', '学生']}
df = pd.DataFrame(data)
# 作成したデータを表示
print(df)
これをコードセルに入力して実行すると、以下のような表形式のデータが表示されます。
名前 年齢 職業
0 Aさん 25 営業
1 Bさん 30 エンジニア
2 Cさん 22 学生
このように、コードを一行ずつ、あるいはブロックごとに実行して、その結果をすぐに確認しながら学習を進めることができます。これがノートブック形式のツールの大きなメリットです。
学習を始める上でのアドバイス
新しいツールやプログラミング言語に触れると、最初は戸惑うことが多いかもしれません。エラーが出たり、思った通りに動かなかったりすることも頻繁に起こります。しかし、それは自然なことです。
大切なのは、完璧を目指さず、まずは実際にツールを触ってみることです。サンプルコードを真似して実行してみたり、少しだけ変えてみたりするだけでも、多くの発見があります。
エラーが出たら、そのエラーメッセージをコピーしてGoogleで検索してみてください。同じようなエラーに遭遇した人の解決策がたくさん見つかるはずです。
また、分からないことがあれば、一人で抱え込まず、オンラインの学習コミュニティやQ&Aサイトで質問してみることも有効です。
まとめ
異業種からデータサイエンティストを目指す未経験者の方が、データサイエンス学習の最初の一歩を踏み出すために必要な無料ツールと、その基本的な使い方・環境構築方法をご紹介しました。
まずは環境構築不要なGoogle Colaboratory (Colab) から触ってみるのがおすすめです。Webブラウザさえあれば、すぐにPythonを使ったデータ分析の雰囲気を掴むことができます。慣れてきたら、Anacondaを使ってJupyter Notebook/Labをローカル環境に構築するのも良いでしょう。
ツールはあくまで「道具」です。大切なのは、これらのツールを使って実際に手を動かし、データ分析の考え方やスキルを身につけていくことです。
この記事でご紹介したツールを使い、ぜひ今日からデータサイエンス学習を始めてみてください。具体的なPythonの学習方法や次のステップについては、別の記事で詳しく解説していきます。
皆様のデータサイエンティストへの挑戦を応援しています。